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内視鏡で見る「腸相」には食k生活で影響する「良い」「悪い」が明確にある

消化器官の胃や腸の中を調べるのに、内視鏡という機械を使うことは、みなさん、ご存じですね。私はこの内視鏡で、過去30年間に30万人以上の胃腸を見てきましたが、あるとき、非常におもしろいことに気づきました。人の顔を見て、あの人は人相がいいとか、悪いとかいいますが、実は胃や腸にも、この「腸相」「胃相」というのがあります。

そして、その胃相・腸相を見ると、その人の健康状態や食生活の良しあしまでが、手に取るようによくわかります。もっと言えば、寿命すらもある程度推測できるのです。
胃相・腸相がきれいな人は、健康そのもので、見た目も年齢より若く見えます。年をとっていても、シミやシワが少なく、外見の印象も「きれいだな」と感じることがほとんどです。

反対に、胃相・腸相が悪い人は、実年齢より老けて見えますし、実際、ガンをはじめとした様々な生活習慣病を抱えていることが少なくありません。
たとえ、今現在は病気でなくても将来病気になる可能性が高いのです。
まさに病気の前兆なんですね。つまり、胃相・腸相は、その人の健康状態を雄弁に物語っているのです。

当時は例えば大腸にポリープが発見されると、開腹手術をして、それを切除するのが普通でした。ごく小さなポリープでも、お腹を切っていたわけですが、私はこんな大手術が果たして必要なのかと、かねがね疑問に感じていました。
そこで、検査で用いる大腸内視鏡を使って、ポリープを切り取る方法を考案しました。内視鏡の中にワイヤーを通し、それをポリープの根元にひっかけて、電気で焼き切るという方法です。大腸をアコーディオンのようにたたみ込みながら内視鏡を挿入していくので腸を傷つけることはありません。

患者さんには事前に鎮痛薬を投与しますから、軽く眠っている間に苦痛もなく、すべてが終了します。内硯鏡によるポリープ切除術は、今でこそ当たり前になっていますが、当時は前例の全くない世界で初めての方法でした。
ですから、私が71年に米国胃腸内視鏡学会で、このやり方を発表したときは、反響が非常に大きかった。会場にいた1000人ほどの医師が、総立ちになって拍手をしてくれたほどです。あのときの感動は、今でも忘れられません。以来、30年以上にわたって、米国と日本でたくさんの人の胃と腸を内視鏡で見てきました。そしてその膨大な胃と腸からわかったのが「胃相」「腸相」だったのです。

胃相と腸相は、ほとんどの場合、同じ様相を呈しています。つまり、胃相が良い人は腸相も良く、腸相が悪い人は胃相も悪いといった具合です。良い胃相というのは、胃の表面が滑らかで、きれいなピンク色をしており、空気を入れると均等に膨らみます。

また、良い腸相は腸自体が非常に軟らかく、腸のひだも小さく均等で、曲がり方もスムーズです。胃同様、空気を送り込むと、スーツときれいに膨らみます。

子供のころは、ほとんどの人がこのようなきれいな胃相・腸相を持っています。中には95歳くらいのご老人でも、赤ちゃんのような状態を保っている人がいます。
長生きできるかどうかは、きれいな胃相・腸相をどれだけ長く維持できるかにかかっているといっても過言ではないのです。
一方、悪い胃相というのは、粘膜表面がでこぼこして、色も

赤や白、ピンク色のところあるなど、まだらになっています。腸はというと、硬くて、ひだが多く、内腔も狭くなっています。
また、検査前に下剤で腸内をきれいにしているはずなのに、あちこちに宿便がこびりついていたりします。

内視鏡を通して、むっとするような悪臭が鼻を突いてくることもあります。

これまでに大勢の米国人の大腸を見て、驚きを禁じ得ませんでした。というのも、肉食を中心にしてきた彼らの腸は、お世辞にも良い腸相とはいえなかったからです。腸は硬く短く、粘膜のひだが多い。内腔が狭く、「憩室」と呼ばれるポケット状のくぼみもあって、その中に宿便が残っている。まさに悪い腸相そのものです。

そして、こういう人たちは、大腸ガンや大腸ポリープ、大腸炎、憩室炎といった腸の病気になっていることが実に多かった。また、ほとんどが肥満で、高血圧や心臓病、糖尿病、高コレステロール血症、高尿酸血症などの生活習慣病も合併していました。

しかし、さらに驚いたのは、その後、日本人の腸を見るようになってからです。私は20年以上前から、日本でも定期的に大腸の内視鏡検査をしていますが、なんと日本人の大腸も米国人の腸相によく似てきたのです。
これは食生活の欧米化、肉食への偏りが原因になっているのは明らかでしょう。
日本でも近年、大腸ガンが急速に増えており、その死亡者は過去20年間で3倍近くに増加しています。さらに、2020年ごろには胃ガンを抜いてガン死のトップになるだろうとも予測されています。

背景には、肉食中心の食生活がもたらす腸相の悪化という問題があることは、間違いありません。そもそも、肉食が大腸ガンやポリープを招きやすいのは、体内で発ガン物質を作るからだと考えられています。
肉を食べると、脂肪を吸収するために胆汁酸が大腸に大量に流れ込みます。この胆汁酸自体は悪さをしませんが、脂肪のとり過ぎで腸内の最近バランスが崩れていると、それが二次胆汁酸という有害な物質に変化するんですね。もちろん、肉食に偏ると食物繊維も足りず、便秘がちになりますから、腸内に便が長時間とどまることになります1すると二次胆汁酸のような発ガン物質をはじめ、様々な毒素が腸壁を刺激することになる。

さらに多量の活性酸素も発生して、細胞のDNAを傷つけていきます。こうして、ポリープやガン化が促進されるんですね。大腸ガンは命にかかわる重大な病気ですが、しかし、ほぼ完全に予防することも可能です。つまり、定期的に大腸の内視鏡検査をして、ポリープがあれば、すぐに切除する。ガンの芽を早いうちに摘んでしまうわけです。

そして、悪い腸相を良い腸相に変える努力を始める。これは腸の病気だけでなく、全身の健康状態も良くし、寿命を延ばすことにも直結します。

では、どうすれば腸相を改善できるのか。やはり一番大切なのは食事です。私は、大腸ガンなどの患者さんにどんな食事をとってきたか、克明に話を聞いてきました。彼らに共通するのは、肉や乳製品といった動物性食品が非常に多く、添加物や野菜の摂取が少ないという点でした。

具体的には、食事の中心になるのは穀物ですから、これが食物全体の半分を占めるようにします。ただ、ここで重要なのは白米やパンなどの精製したものではなく玄米、ライ麦パンなど精製されていないものを選びます。

こうした食事に切り替えると、半年から1年ほどで腸相も驚くほど改善されます。次に、野菜類は全体の30~40% になるようにします。
温野菜だと量がとれますし、生野菜なら酵素も一緒に摂取できますから、食卓には両方そろえたいですね。ほかに豆類と果物も、それぞれ5%ほど必要です。動物性の食物は、10~15%が目安です。簡単にいえば、1日に100g程度で充分ということです。

肉より魚、魚でも頭からしっぽまで丸ごと食べられるものがいいでしょう。
これ以外に良質の水をできるだけたくさん飲むことです。

次は出すことですっつまり、排せつですね。腸内で老廃物をためこんだり、毒素を大量発生させないためには、食べた物を12〜24時間以内に出してしまいたいものです。

腸相は食事や生活習慣を改めることで、確実に改善します。健康や若々しさを維持したいなら、まずは腸をきれいにすることです。私はこのことに気づいた43歳のころから、生活を根本から見直しました。お陰で、60歳半ばの今でも元気に活力に満ちた毎日を送っています。
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